新築購入時のよくあるトラブル!建築条件付き土地の場合
今回は新築一戸建てを探していると、目にすることも多い言葉「建築条件付き土地」についてです。
工務店は選べませんが、好きな家を設計できるというメリットがあります。
しかし気を付けないと、非常にトラブルが多いです。
私もパワービルダー勤務時に、お客様とのトラブルを経験しました。
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建築条件付き土地とは
売主が指定する建築業者と、決められた期間内に建物を建築する契約を締結することを条件に販売される土地の事です。
建物を建てるのは売主が指定する工務店等になるので、自分で好きなハウスメーカーなどを選ぶことが出来ません。
価格的には、建築条件のない土地に比べて少し安く設定されています。
建築条件付きの条件を外すことは出来る?
これは売主次第なのでなんとも言えませんが、建築条件付き土地は建物を建築することを前提に価格設定していますので、その分安くなっています。
建物を建てることによって得られる利益分を土地の金額に上乗せすれば、条件を外してくれる売主もいますので、どうしてもその土地が欲しい場合はダメもとで聞いてみてもいいかも知れません。
建築条件付き土地の売主2パターン
建築条件付き土地の売主は、大きく二つのタイプに分かれます。
売り建て(自由設計)を主に行っている売主
いわゆる「売り建て」もしくは「自由設計」と呼ばれるもので、土地が売れてから、建物を建てる売り方を主に行っている会社です。
この売り方をしている会社は、直接販売を行っていて、仲介会社が物件を紹介できない場合が多いです。
パワービルダー
もう一つは、いわゆるパワービルダーが、建築を始めるまでの期間だけ建築条件付きとして売り出している場合です。
どちらも同じ建築条件付き土地なのですが、前者は比較的打ち合わせなどが多いですが、それでも注文住宅に比べてると少なくなります。
パワービルダーの場合は打ち合わせ回数が、非常に少ない場合が多いです。
理由としては、どちらの場合もいわゆる注文建築と比べて建物価格が安いので、かけられるコストが限られるからです。
住宅を購入するお客様は「注文住宅」、売主側は「建売の延長」と両者の認識にギャップがあるので、クレームが非常に起きやすいです。
無責任な仲介会社の営業マンは、パワービルダーが売主の条件付き土地でも、「注文住宅で理想の家が建ちます」という風なセールストークで契約をして、あとは売主に丸投げです。
私が経験したケースがまさしくこれで、打ち合わせのたびにお客様から「建築士の先生やカラーコーディネーターの方は来ないんですか?」と聞かれたりしました。
もちろん間取りなどは、希望を極力かなえられるように設計しますが、注文住宅と違い、家の中の設備ひとつひとつすべて選ぶことはできませんし、壁紙なども数パターンしか選べません。
このような認識の違いによりクレームにつながるパターンが多いです。
建築条件付き土地のメリット
好きな家を設計できる
売主によって異なりますが、建売と比べると間取りは自由に設計できますし、設備の色・グレードなども好みの物を選ぶことができます。
建物の建築の過程を見る事が出来る
建築条件付き土地は、契約後の打ち合わせが終わってから建築が始まりますので、基礎工事や棟上げ等の建築過程をチェクしながら完成を待つことが出来ます。
建築条件付き土地のデメリット
プランを考える期間が短い
土地の契約からないよ、ほとんどの場合3か月以内に建物の請負契約を結ぶことが条件と記載されていますので、間取りの打ち合わせなどをする期間が思ったより短いです。
もし、請負契約が期間内に締結されない場合は、土地の売買契約契約は白紙解除となり、契約時の手付金は返却されます。
まれに、土地の契約と建物の契約を同時に行う会社がありますが、間取りなども決まっていない状態で請負契約を結ぶことは違法行為です。
そのような契約を行ったとして愛知県の大手住宅会社が行政処分を受けています。
参考
国土交通省の報道発表
朝日新聞デジタルニュース
仲介手数料に注意が必要
仲介手数料は、土地の契約に対してのみかかります。
なので、土地と建物両方の仲介手数料を請求すると違法となります。
しかし、仲介会社はさも当然のように
「土地+建物の二つの契約を、土地建物一つの契約にまき直しをします」
と言ってきます。
これで合法的に両方の仲介手数料を請求できるからです。
注意しておきましょう。
意外と選択肢が少なく、結局高くつく
注文住宅と違い、選べることは少ないです。
地下室や、屋上などはほぼ無理ですし、中の装備も標準プランから選ぶことになります。
何か追加すると、その分建物価格が上がりますので、結局高くつくことが多いです。
建築条件付き土地でみられるトラブルの実例
イメージとのギャップによるトラブル
これはパワービルダーが売主の時に起こりやすトラブルのケースで、売主・仲介業者・お客様それぞれの建築条件付き土地に対する認識の違いと、仲介業者の説明不足によって起こるもので、実際に私がパワービルダーの営業をしている時に起こりました。
それぞれの建築条件付き土地に対する認識(パワービルダーが売主の場合)
売主
建売として販売開始をする前に契約をしたことによって、土地と建物の契約が分かれてしまっているだけなので、間取りや外観などは選べるが、注文建築とは建物価格も全く違うので、建築士による打ち合わせなども行わず、変更も軽微なものに留めて欲しい。
また複数の区画がある場合、工期は他の区画と同じ時期に納めるようにしたい。
仲介業者
とりあえず契約して欲しいので、「注文建築なので色々選んで決めることが出来る」とだけお客様に伝える。
買主
「注文建築」という説明しか受けていいないので、建売住宅とほぼ同じ価格で、素材や建築方法など一から建築士と打ち合わせをして、家づくりを出来ると考えます。
そのまま契約をすると・・・
当然、トラブルに発展します。
買主は注文建築を買ったと思っているので、色々夢を膨らませて家づくりの事を調べて打ちあわせに臨みます。
しかし、そこにはパワービルダーの営業マンだけで建築士もおらず、また仕様もほぼ決まっている事が告げられます。
間取りは希望の間取りに出来るが、天井の高さやバルコニーの広さなどは工法によってほぼ決まっているので、変える事が出来ないと知り、家づくりに対し不満を感じてしまいます。
トラブルを回避するために
このようなことは、間に入っている仲介業者の無責任な言葉によって起こってしまいます。
確かに仲介業者は嘘をついていません、パワービルダーの建築条件付き土地の建物も注文建築といえるでしょう。
しかし、あまりにも説明が無さすぎます。
パワービルダーの建てる建築条件付き土地の建物も、名前の知られているハウスメーカーの建てる注文建築も同じ「注文建築」ではあります。
しかし、価格が全く違います。
坪単価にすると1.5倍以上は変わってきます。
それでハウスメーカーの注文建築と同じ回数の打ち合わせ等が行われるはずがありません。
きちんと、なぜ建売住宅が安いのかという理由を説明し、それとほぼ同じ価格で購入するので、間取りなどは選べるが、注文住宅と違い、打ち合わせも少なく、選べる項目も限られてくるという説明を、申込前に買主に説明することで、このようなとトラブルは避けることができます。
ですので、物件を紹介する仲介業者が、信頼できる業者なのかきちんと選ぶことが重要になってきます。
中には、建築条件付き土地を扱ったことが無いという営業マンも結構いますので、普段の行動から経験と知識が豊富なのか判断する必要があります。
このケースはパワービルダーが売主の場合に起きやすいケースで、普段から建築条件付き土地を専門に扱っている売主の場合には起こりにくいケースとなります。
まとめ
今回のポイントです。
- 建築条件付土地の場合、建物の選択肢は少ない。(建物について質問があるときは、仲介を通して売主に確認する)
- ほとんどの物件に、基本プランがあるのでそれを少しアレンジできるくらいに思っておく。
- 理想の家にしようとすると、建物価格がどんどん上がっていく。
- 請負契約の日程や、仲介手数料など少しでもおかしなことがあればその都度確認する。
以上の点に気を付けていれば、気に入った土地に気に入った新築を建てることができます。
しつこいようですが、建築条件付き土地は非常にトラブルが多いので本当に注意しましょう。